昨年12月から就いていた仕事の最終日。人に恵まれ、楽しい職場だった。公的機関なので転勤で移動する...
昨年12月から就いていた仕事の最終日。人に恵まれ、楽しい職場だった。公的機関なので転勤で移動する者もいて、一日中方々で別れの挨拶が聞こえていた。いざ去るとなると、短いながらも色々な思い出が蘇ってきた。次の仕事は未定である。こんな綱渡りがいつまで続くのかと、うんざりするが、その内いいこともあるだろう。
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郵便振替をするために街角の簡易郵便局に入った。本局は混雑しがちなので敬遠したのだ。職員はなんと全...
郵便振替をするために街角の簡易郵便局に入った。本局は混雑しがちなので敬遠したのだ。職員はなんと全員が年輩の女性で、黄地に白ストライプのユニホーム姿だ。てきぱきと事務処理を行う人は、たぶん八十代ではなかろうか。体の続く限り働ける環境があることは幸福なことだと思う。旅立つ日まで社会に参加していてほしい。
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今日は最後のダム点検に行った。往復の道すがら、色取り取りの花が咲き誇っていた。辛夷、木瓜、菜の花...
今日は最後のダム点検に行った。往復の道すがら、色取り取りの花が咲き誇っていた。辛夷、木瓜、菜の花、桜など。白や黄やピンクや赤が、緑の野や山を背景に命を燃やしていた。特に木に咲く花の姿は一種独特の妖しさがある。季節も人生も確実に巡るもので、来るべきときは必ず来るものだよなあ、なんて思いつつ眺めていた。
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一番の子供孝行は、親が楽しく幸せに生きて見せることだと思う。そりゃまあ飢えさせるわけにはいかない...
一番の子供孝行は、親が楽しく幸せに生きて見せることだと思う。そりゃまあ飢えさせるわけにはいかないが、子供の為にしてやれることは、大人になるって何だか楽しそうじゃんと思わせてやることくらいのものだ。子供からは親を手放せないから、親の方からそうしてやれば、彼らは安心して自分自身の人生を生きていくだろう。
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本棚の本を何となく手に取り、適当に捲っていたら、ある言葉に目が止まった。
『たとえば幸福になりたく...
本棚の本を何となく手に取り、適当に捲っていたら、ある言葉に目が止まった。
『たとえば幸福になりたくても、愛を得たくても、行為によってそこへ行き着くことはできない。そこへ行き着くには、そこにいることだ。行きたい場所にいなさい』
頭では何とかわかるが、心にストンと落ちたとは言い難い。でも、これは、もしかして。
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己が耳に痛いことを言われると、必ず何らかの言い訳をする人がいる。「そうだね」とか「ごめん」の代わ...
己が耳に痛いことを言われると、必ず何らかの言い訳をする人がいる。「そうだね」とか「ごめん」の代わりに最初に「でも」が来る。身に覚えのないことや誤解はきちんと弁明すべきだろうが、どんな場合でも言い訳をする人は何だか不自由そうだ。他者の言葉にはひとまず耳を傾けて、そのあと冷静な対応をしよう、と己を戒める。
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久々に再会した若い友人が開いた絵の個展に行った。ここ五年ほど彼女の人生は波瀾万丈だったが、いつも...
久々に再会した若い友人が開いた絵の個展に行った。ここ五年ほど彼女の人生は波瀾万丈だったが、いつも懸命に生きているのを知っていた。たまに連絡し合って励ましたり、勇気をもらったりした。作品から彼女の過ごした日々が透けて見え、こみあげたり、ほっとしたりした。絵があってよかったなあ、と小さく呟いた午後だった。
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80年の新年をマドリードで迎えた。宿の朝食に出るカフェオレとビスケットが楽しみだった。酒場でナー...
80年の新年をマドリードで迎えた。宿の朝食に出るカフェオレとビスケットが楽しみだった。酒場でナースと知り合った。自宅に遊びに行くと、フラメンコを踊ってくれた。ちょっと惹かれ合ったが、それだけだった。そのあと南へ下った。運転してたら、ふっと思い出した。車と同名だからという、ありがちな切っ掛けだったが。
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しかしテレビの音って、なんであんなに騒々しいのだろう。他のことをしているときに聞こえてくる音は、...
しかしテレビの音って、なんであんなに騒々しいのだろう。他のことをしているときに聞こえてくる音は、ほとんど暴力だ。特に甲高く喋る民放の番組がひどい。ラジオだとそうは感じないのは何故? 映像に伴う音声は何か特別の要素が必要だというのか。テレビの音に慣らされた耳が培う感性を危ういものに思うのは、おれだけか?
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友人ガルのサイトでダライ・ラマの言葉が紹介されていた。
『自分の欲しいものが手に入らないということ...
友人ガルのサイトでダライ・ラマの言葉が紹介されていた。
『自分の欲しいものが手に入らないということが、時には素晴らしい幸運であるということを忘れてはならない』
この言葉が心にしみたということで、おれは気が強いと同時に弱いんだなあ、何とか踏みとどまっているんだなあ、と痛感した。 でも、この言葉は真実だと思う。
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Stingのアルバム「nothing like the sun」に「秘密の婚姻」という曲がある。頭に被るベールや祭壇の花も...
Stingのアルバム「nothing like the sun」に「秘密の婚姻」という曲がある。頭に被るベールや祭壇の花も無く、世間には認められなくても、心と心が結ばれた結婚をするという歌である。そんな二人は末永く愛し合って生きるのだろうか。夫婦、恋人、愛人、友人と、呼び名は何でもいい。深い信頼に基づいた関係性こそが。
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電話受注+PC入力+配達の仕事があった。早速相談窓口へ。求人先担当者と電話で話す。
「毎日相当数の...
電話受注+PC入力+配達の仕事があった。早速相談窓口へ。求人先担当者と電話で話す。
「毎日相当数の注文電話がありまして」
「パソコンには慣れてますが」
「でも」
と何か言いにくそうである。
「もしかして女性を想定されてます?」
「ええ、まあ」
お互いのために最初からそう示してくれ。男女に違いがあるのは自然なこと。
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体と心が元気になるスープの作り方を教わった。フライパンに切ったトマト適量と刻んだ生姜、白葱を入れ...
体と心が元気になるスープの作り方を教わった。フライパンに切ったトマト適量と刻んだ生姜、白葱を入れ、油で炒める。香りが立ったら水とコンソメの素(鶏がらストック)、塩と胡椒を入れ、煮立てる。仕上げに溶き卵と蔬菜を加える。簡単にできて旨い。マオさんは奥さんのミャオさんから習ったとか。人から人へ伝わるもの。
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四月からの仕事を探していて県立高校図書館司書の非常勤嘱託員採用募集を見つけた。さっそく応募し面接...
四月からの仕事を探していて県立高校図書館司書の非常勤嘱託員採用募集を見つけた。さっそく応募し面接を受けた。競争率20倍である。面接官の一人は高校時代の未知の先輩だった。あなたの豊富な人生経験を学生達に還元してくださいよ、などと言う。感触は良かったが、結果は不合格だった。この意味を考えるより次を探す。
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ダム点検に向かう車のラジオでパーソナリティ曰く、春は別れと出会いの季節だと。卒業、入学、入社、転...
ダム点検に向かう車のラジオでパーソナリティ曰く、春は別れと出会いの季節だと。卒業、入学、入社、転勤。同僚も県東部への移動が決った。今日は職場の送別会だ。四ヶ月勤めたダム管理補助の仕事も、もうじき終る。社会に属していれば出会いも別れも当然あるが、本気で関わって初めて、真の出会いと別れになるのだと思う。
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早朝にふと目覚めると、真っ暗な室内に窓のブラインドを通して淡い光が射し込んでいた。月光だった。窓...
早朝にふと目覚めると、真っ暗な室内に窓のブラインドを通して淡い光が射し込んでいた。月光だった。窓を開けると、雲一つない明け方の空に丸い月が輝いていた。月の側には数個の星が寄り添っている。暗い大地を冷気が満たしていたが、ぼくは窓から身を乗り出すようにして、徐々に白銀色に薄れていく月をじっと眺めていた。
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ある意志を持って何かをしようとすると、まるでそれを阻止するかのような出来事が起きることはないだろ...
ある意志を持って何かをしようとすると、まるでそれを阻止するかのような出来事が起きることはないだろうか? 気軽に無視することのできない、選択に苦しむようなことが。そこであなたは自分の心を覗き込み、本当の気持を確かめることになる。初心を貫く場合にも、こころは痛みを伴ってゆれる。選ぶとはそういうことだろう。
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1974年にロンドンで録音されたKING CRIMSONの「RED」というアルバムがある。久々に聴いて、その美し...
1974年にロンドンで録音されたKING CRIMSONの「RED」というアルバムがある。久々に聴いて、その美しさに圧倒された。音圧高く歪んだ楽器の音色。ヘヴィーなリズム。深く慈愛に満ちた歌声。破壊的な曲調から匂い立つリリシズム。泥の中に咲く蓮華のように、美は一見相応しくない場所にも現れる。千の顔で。
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雲の動きを見ていても、とても早い。以前とは全く違う。もう過去の経験は当てはまらない、通用しない。...
雲の動きを見ていても、とても早い。以前とは全く違う。もう過去の経験は当てはまらない、通用しない。起きてくる出来事はとにかく受け入れる。総て受け入れると予め心を決めてしまう。決して拒絶はしない。自分の現状(心)をよく知っている事。周りの状況をよく見て、変化を知っている事。自分の内側を先ず安定させる事。
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ある人と話していて、毎日長時間パソコンに向かっていると言ったら、定期的に天を仰ぐ姿勢をとった方が...
ある人と話していて、毎日長時間パソコンに向かっていると言ったら、定期的に天を仰ぐ姿勢をとった方がいいと勧めてくれた。うつむきの「うつ」は鬱病の「うつ」に通じるかららしい。姿勢を正すことで性格が明るくなるはずだともおっしゃる。おれは、こういったことを言葉のこじつけだとは思わない。さっそくやってみよう。
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江國香織「神様のボート」の母と娘は一、二年ごとの転居を繰り返す。新しい町に住処と仕事を見つけ、そ...
江國香織「神様のボート」の母と娘は一、二年ごとの転居を繰り返す。新しい町に住処と仕事を見つけ、そこに馴染み始めると新たな土地へ向かう。おれもかつて、そんな風に夢想したり実践したりした。一人きりでと、誰かと一緒とでは、流れ着いた町の色合いも違って見えた。身軽になったとき、おれはこの町で暮らすだろうか。
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背水の陣を敷いている人がいる。切羽詰まった状況ではネガティブなことを考える余裕などないと言う。と...
背水の陣を敷いている人がいる。切羽詰まった状況ではネガティブなことを考える余裕などないと言う。とにかく、やるしかないと。人が安定を求めるのは、そこに安心があるからだろう。一方で、安定と満足は必ずしもペアでない。ヒリヒリした日々の中からやっと姿を現す何かがある。そんなもの見ずにすむ人生なら良かったか?
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VOXという名に反応する人は音楽好きやバンドやってる人がほとんどだろう。かのビートルズが愛用して...
VOXという名に反応する人は音楽好きやバンドやってる人がほとんどだろう。かのビートルズが愛用していたことで有名なギターアンプメーカーだ。実は十年以上前に製造された22Wのモデルを入手した。アンプも楽器の一部なので自前のが欲しかったのだ。これも新しい出会いの一つと言えるだろう。四月末にはライブがある。
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先達によると願望を実現させる気が今ほど濃い時代は過去なかったらしい。人の願望は二種類ある。幸せに...
先達によると願望を実現させる気が今ほど濃い時代は過去なかったらしい。人の願望は二種類ある。幸せになりたい願望と不幸になりたい願望。願望実現の秘訣は思い続けること。幸せな事、楽しい事を思い続けるのは案外難しく、心配な事、不安な事を思い続けるのは案外たやすい。どちらの事をより多く思うのか、試してみては?
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ふと東京の下町を思い出した。大学時代の親友の家が下町にあり、飯に有り付きによくおじゃましていた。...
ふと東京の下町を思い出した。大学時代の親友の家が下町にあり、飯に有り付きによくおじゃましていた。泥鰌料理の店、団子屋、柳の木、川舟、雷門、軒先の朝顔。関西の日本情緒とは一味も二味も違う江戸の面影がそこにあった。日が暮れて店先にオレンジ色の灯りがにじむ頃、胸がきゅっと切なくなるような町並を一人歩いた。
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ある小説の中に紺色のスクーターで町を走るという記述があり、ちょっと心惹かれた。京都にいた三十代の...
ある小説の中に紺色のスクーターで町を走るという記述があり、ちょっと心惹かれた。京都にいた三十代の頃、中古のスクーターに乗っていた。当時ヘルメットの着用義務はなく、風で髪を梳くのが心地よかった。気軽にまたがり、あちこち出かけた。煙草をくゆらせ珈琲をすするカフェの窓外に、御所の緑を背にした愛車が見えた。
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未経験なのに、かつてどこかで経験したかのように感じられることを既視感という。このシーンには覚えが...
未経験なのに、かつてどこかで経験したかのように感じられることを既視感という。このシーンには覚えがあるという経験は、大抵の人が持っているだろう。あるいは、未知の風景が常に頭にイメージされたりもする。おれの場合、それはアメリカ西部の切り立った丘の上。巨大な夕陽に照らされ、風が吹き抜ける。なぜか懐かしい。
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ある人からメールが届いた。孤独が恐いから既存の関係に執着し、自分と合わなくなった他者の変化を見な...
ある人からメールが届いた。孤独が恐いから既存の関係に執着し、自分と合わなくなった他者の変化を見ないようにしてしまうと。自分という存在が誰かの孤独を癒せるんだと気づくことは、とても大切だ。それはとても誇らしいことで、他者とのつながりを信じるよすがになるだろう。孤独は自明なものであり、愛の素材だと思う。
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半年ほど前から息子1号がバンドに夢中だ。夏休みにアルバイトして黒のレスポールモデルを買い、メンバ...
半年ほど前から息子1号がバンドに夢中だ。夏休みにアルバイトして黒のレスポールモデルを買い、メンバー達と倉庫を片づけて練習場にした。それまでそんなそぶりは見せなかったので驚いた。学業と両立させろよ、なんて親らしいことを言ってはみるが、来春の離郷までに一緒にライブができればなと思う。音楽は一生もんだぜ。
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