2005
01
Dec |
何をきっかけに『二都物語』を思いたったのか分かりませんが、メ-ルの一通で佐田薫子さんが乗り出しました。僕は多分、彼女の作品『よこはま風文記』の記憶のせいでしょう。彼女も僕の『天津今昔招待席』を一瞥していたようです。まるでいつも顔を会わせる座談会仲間のように、微笑みながら書き始めました。
テ-マ(お題)と、小説かルポかなどスタイルだけそろえて、後はそれぞれの世界で勝手気儘に書く(けれど観光案内にはしないぞ、と)。それだけのとりきめで八編を書き終りました。
メジャー横浜に比べると、神戸は十分にマイナーです。が、どの一遍にも、神戸の過去や未来を語る上で欠かせないメジャーな問題と魅力を盛り込んだつもりです。
連載を開始すると、薫子さんてどんな人? と多くの質問が寄せられましたが、誰も信じないけど僕は一度もお会いしていません。声も聞いていないけれど、一通のメ-ルにも作品にも彼女の息づかいを感じるのです。ここは思わず本音、ここはやや背伸びかな、ここはポ-ズをキメた……と。まさにデジタル文芸の面白さでしょうか。しかし薫子さんの作品は、さすがです。僕には書けない繊細さ、優美さに満ちています。だから横浜は素敵なのでしょう。
ただ最後の第八編「喫茶店」だけは、スタイルが異なりました。薫子さんは文章表現がきわめて困難な戯曲でしかもシノプシス風に。僕は小説で終わらせました。創りあげた可愛い女性に、神戸で思い切りよく『観念』して欲しかったからです。
読者の皆さんと次はどんなキ-タッチでお会いできるか、楽しみでもあります。

モザイク3階のデッキのテーブルで、ぬる燗の紹興酒と皮蛋か、冷え冷えのビールにザワークラウトを前にすれば、神戸至福のひと時が楽しめる。

ジャズ上陸地の神戸、休日の大丸東通りには本格的なジャズバンドが路上で活躍。ここでは紙コップのコーラにホットドッグがよく似合う。
皆様、このたびは「事件は港からやって来た……横浜・神戸 二都物語」に、ご乗船ありがとうございます。快適な航海をお楽しみいただけましたでしょうか?
横浜と神戸、二つの港町を巡るこの航海では、『事件』『メリケン波止場』『ホテル』『美術館』『建物』『元町』『ランドマーク』『喫茶店』の、八つのテーマでそれぞれの街を切り取りまして、あれこれとアレンジし、お送りしました。
似て非なる二つの街:横浜と神戸、これらの街から紡ぎ出される「もの語り」は如何だったでしょうか?
港町としては、まったくの先輩格である神戸の田中良平さま(勿論人生においても、執筆の世界におきましても大先輩の)に、背中をポンと押されてスルスルと滑り出したこの「二都物語」。佐田が綴った「もの語り」の中に、観光ガイドではけして伝わらない、この横浜という街に暮らして来た人々の息遣い、戸惑い、夢を、幾ばくかでも感じていただけたとしたら、作者冥利に尽きるものであります。
開港の名の下にすべてが始まり、新しい文物が流入し発信する街として、一躍歴史の表舞台に引き出された幼子が、こづかれながら躓きながら歩を進め育って来た様を、私の心許ない筆ながら描き綴って参ったわけでございます。
ひとまず手始めの航海はこれにて終了となりますが、皆様の五感で、新しい街を感じていただくための本当の旅は始まったばかりです。この「二都物語」がその一助となりますことを期待しつつ、これまでの乗船に感謝申し上げる次第です。またの、ご乗船を心より御待ち申し上げております。

コンテナと船と港を飾る秋の彩り、とあるバーラウンジから

みなとみらいの建物群遠景、横浜トリエンナーレ会場から
テ-マ(お題)と、小説かルポかなどスタイルだけそろえて、後はそれぞれの世界で勝手気儘に書く(けれど観光案内にはしないぞ、と)。それだけのとりきめで八編を書き終りました。
メジャー横浜に比べると、神戸は十分にマイナーです。が、どの一遍にも、神戸の過去や未来を語る上で欠かせないメジャーな問題と魅力を盛り込んだつもりです。
連載を開始すると、薫子さんてどんな人? と多くの質問が寄せられましたが、誰も信じないけど僕は一度もお会いしていません。声も聞いていないけれど、一通のメ-ルにも作品にも彼女の息づかいを感じるのです。ここは思わず本音、ここはやや背伸びかな、ここはポ-ズをキメた……と。まさにデジタル文芸の面白さでしょうか。しかし薫子さんの作品は、さすがです。僕には書けない繊細さ、優美さに満ちています。だから横浜は素敵なのでしょう。
ただ最後の第八編「喫茶店」だけは、スタイルが異なりました。薫子さんは文章表現がきわめて困難な戯曲でしかもシノプシス風に。僕は小説で終わらせました。創りあげた可愛い女性に、神戸で思い切りよく『観念』して欲しかったからです。
読者の皆さんと次はどんなキ-タッチでお会いできるか、楽しみでもあります。
『二都物語』の、ひと休みに 田中良平

モザイク3階のデッキのテーブルで、ぬる燗の紹興酒と皮蛋か、冷え冷えのビールにザワークラウトを前にすれば、神戸至福のひと時が楽しめる。

ジャズ上陸地の神戸、休日の大丸東通りには本格的なジャズバンドが路上で活躍。ここでは紙コップのコーラにホットドッグがよく似合う。
皆様、このたびは「事件は港からやって来た……横浜・神戸 二都物語」に、ご乗船ありがとうございます。快適な航海をお楽しみいただけましたでしょうか?
横浜と神戸、二つの港町を巡るこの航海では、『事件』『メリケン波止場』『ホテル』『美術館』『建物』『元町』『ランドマーク』『喫茶店』の、八つのテーマでそれぞれの街を切り取りまして、あれこれとアレンジし、お送りしました。
似て非なる二つの街:横浜と神戸、これらの街から紡ぎ出される「もの語り」は如何だったでしょうか?
港町としては、まったくの先輩格である神戸の田中良平さま(勿論人生においても、執筆の世界におきましても大先輩の)に、背中をポンと押されてスルスルと滑り出したこの「二都物語」。佐田が綴った「もの語り」の中に、観光ガイドではけして伝わらない、この横浜という街に暮らして来た人々の息遣い、戸惑い、夢を、幾ばくかでも感じていただけたとしたら、作者冥利に尽きるものであります。
開港の名の下にすべてが始まり、新しい文物が流入し発信する街として、一躍歴史の表舞台に引き出された幼子が、こづかれながら躓きながら歩を進め育って来た様を、私の心許ない筆ながら描き綴って参ったわけでございます。
ひとまず手始めの航海はこれにて終了となりますが、皆様の五感で、新しい街を感じていただくための本当の旅は始まったばかりです。この「二都物語」がその一助となりますことを期待しつつ、これまでの乗船に感謝申し上げる次第です。またの、ご乗船を心より御待ち申し上げております。
二〇〇五年 晩秋を過ぎて、横浜から・・・ 佐田薫子

コンテナと船と港を飾る秋の彩り、とあるバーラウンジから

みなとみらいの建物群遠景、横浜トリエンナーレ会場から
day:2
week:7
total:3077(since 09/may/2005 15:00)
Comments
連載お疲れさまでした。
そして、ありがとうございました。
佐世保出身の私にとって、港町はとても親しみを感じます。
「二都物語」のおかげで、横浜、神戸という二つの港町が、よりいっそう身近な存在になったような気がします。
是非一度訪れたいと思っています。
素敵な街とたくさんの人々に感謝。
そして、ありがとうございました。
佐世保出身の私にとって、港町はとても親しみを感じます。
「二都物語」のおかげで、横浜、神戸という二つの港町が、よりいっそう身近な存在になったような気がします。
是非一度訪れたいと思っています。
素敵な街とたくさんの人々に感謝。
on 12/02/05 at 07:54:AM
I.T.
外航船員歴40年間の父は昨年他界しましたが、横浜から出航の見送りや関西九州の港まちを父を追った日々での神戸滞在の少年時代を追想しながら読みました。息遣いの聞こえるような歴史のドラマや熱っぽい市民の街作り活動が新鮮でした。
次は都市の風土と人間の生きざまの潜在する糸をフィクションで語って欲しいのです、例えばローデンバッハの死都ブルージュでしょうか。楽しみにしております。
on 12/09/05 at 19:52:PM
田中良平
記憶はかすかにありましたが、ローデンバッハなんて名が、突然出てくるとあわてます。ましてブルージュなんてほとんどの方が初耳でしょう。ここはやはり五木寛之ワールドですよ。僕が書くと生臭くて、登場する男女にシニカルさがなくなりそう。祖父と孫娘・・・ほどの違いの恋愛なら・・・の枯れて幼い話しなら書けそうですが、ネット向きじゃありませんね。
on 12/12/05 at 15:28:PM






