2007
15
Nov |
今朝から屋敷内が慌ただしい。
オレは藩主宗氏の茶室に移されて、水屋の畳に大切に置かれていた。
菊之丞が下女に手伝わせて、水差し、茶入れ、三島茶碗、漆塗りの香合、など入念に点検をしている。
いったいなにが起こるのか見当もつかないがきっと大事な客がやってくるのかもしれない。
露地の水をうった飛び石は、濡れて朝日をあびてきらめいている。
ふと耳にはいったのは博多の豪商、若き日の神谷宗湛の名前である。
多くの船を持ち、南蛮貿易で莫大な利を得、信長に寵愛されて、すでに千利休と交友があり、茶人としても頭角をあらわしていた。
のちには秀吉、家康の寵もうけ、堺の豪商、武野紹鴎も刮目する大商人の地位を築くことになる。
彼は早くから朝鮮貿易に着眼して、高価な高麗人蔘、薬草、木綿、皮革、粉青のやきものなどのほか、大名の巻狩り用の朝鮮鷹まで手にいれて斡旋したりする最大拠点としての対馬に度々訪れていた。
対馬藩としても彼による財政的の援助もあり、来客でも最高の待遇をしなければならぬ事情もあった。
ははーん、それでオレは分かった。倭国ではウリナラの接待宴と異なり、茶席をもうけて接待する……それ故、なによりのご馳走は茶席に使う名品道具だ。
オレは水屋でいささか緊張して出番をまった。
大門が騒々しい気配になった。
接待役の武士に先導されて現れたのは若き神谷宗湛だった。
若さを吹き飛ばすほどの貫禄を見せてゆっくり歩む姿は藩主よりも威厳にみちていた。
……これはこれははるばるの御来島、幸い海路も神谷様のご威光にて静かで、某も嬉しく存じます……と藩主が深々と礼をした。
オレは藩主宗氏の茶室に移されて、水屋の畳に大切に置かれていた。
菊之丞が下女に手伝わせて、水差し、茶入れ、三島茶碗、漆塗りの香合、など入念に点検をしている。
いったいなにが起こるのか見当もつかないがきっと大事な客がやってくるのかもしれない。
露地の水をうった飛び石は、濡れて朝日をあびてきらめいている。
ふと耳にはいったのは博多の豪商、若き日の神谷宗湛の名前である。
多くの船を持ち、南蛮貿易で莫大な利を得、信長に寵愛されて、すでに千利休と交友があり、茶人としても頭角をあらわしていた。
のちには秀吉、家康の寵もうけ、堺の豪商、武野紹鴎も刮目する大商人の地位を築くことになる。
彼は早くから朝鮮貿易に着眼して、高価な高麗人蔘、薬草、木綿、皮革、粉青のやきものなどのほか、大名の巻狩り用の朝鮮鷹まで手にいれて斡旋したりする最大拠点としての対馬に度々訪れていた。
対馬藩としても彼による財政的の援助もあり、来客でも最高の待遇をしなければならぬ事情もあった。
ははーん、それでオレは分かった。倭国ではウリナラの接待宴と異なり、茶席をもうけて接待する……それ故、なによりのご馳走は茶席に使う名品道具だ。
オレは水屋でいささか緊張して出番をまった。
大門が騒々しい気配になった。
接待役の武士に先導されて現れたのは若き神谷宗湛だった。
若さを吹き飛ばすほどの貫禄を見せてゆっくり歩む姿は藩主よりも威厳にみちていた。
……これはこれははるばるの御来島、幸い海路も神谷様のご威光にて静かで、某も嬉しく存じます……と藩主が深々と礼をした。
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